メキシコで子育てしてみてわかった。ここが変だよ、日本の子育て

子どもを泣かさないように注意して、

買い物の時には子どもが走り回らないように、

他の人の邪魔にならないように、ベビーカーで混雑した電車には乗らない・・・

 

日本で子育てする多くのお母さん、お父さんが気遣っていることと思う。

わたしも、日本に帰ったらきっと同じ。

正直に言うと、例えば電車に乗っているときに大声で泣いている子どもがいたら、なんだか落ち着かなくて、早く泣き止め~・・と思ったり、走り回る子どもがいたら、しつけてないのかな・・そんなことを思ったりしていた。

 

でも、今はこれってすんごく変!と思う。そんな風にわたしの意識が変わった。

 

お隣さんの3歳の子はすぐ泣く。しかも大声で。

けれど、あれ。今はなんとも思わない。

引っ越した最初の頃は、あやしたりさ、泣くのを止めるようにしたりしないの?と思っていたけど、今では大声で泣き続けていても、なーんとも思わない。

今まさに書いている間も、ギャン泣き。また泣いてるね~、どうしたんかなーくらい。

 

お隣さんは、基本子どもが泣いていても放任。

どうしたの?くらいは聞いて、頭や背中をポンポンしたりしてるけど、ハイハイ泣いてなさいって感じ。

たまにお父さんが、もう泣くなーーー!みたいに言ってる時もあるけど、

全然怖くない。

これはお隣さんに限ったことではない。道端でもメルカド(市場)でも、電車の中でも基本おんなじ。

 泣いている子どもやその親に冷たい視線を感じるということが、ない。

 

小さな子ども連れが満員の地下鉄に乗ろうとしている時、多くの人が場所を空けて、おいでおいでと迎え入れる。

私が妊婦だった時、バスや地下鉄ではいつもと言っていいほど席を譲ってくれた。

ジーって見られてると感じて、もしや狙われてるのかと怪しんでいたら、ここ座るか?とジェスチャーで言ってくれる人に何人も出会った。だって失礼ながら、見かけが怖い時がけっこうあるんだもんなー。

 

メキシコに来てから、日本語学校で日本語を教えているのだが、授業で扱った読解問題におもしろいものがあった。

こんな問題↓

 

〇〇新聞 読者の声より

「先日、電車の中でベビーカーを堂々と使っているお母さんがいました。他の人が通る時に邪魔だから、ベビーカーをたたむように注意しました。迷惑を考えないお母さんが最近増えているように思います。」

問題  注意をされた母親はどんな気持ちだったでしょう。

 ①迷惑だと思った ②悲しかった ③嬉しかった ④なんとも思わなかった

正解は②の「悲しかった」

 でも、メキシコ人の生徒たちは全員が①「迷惑だと思った」を選んだ。

わー。わたしは当たり前のように正解②を選んだが、生徒たちは当たり前のように①を選んだ。なぜ悲しむ必要がある?と。迷惑だと言う方が大迷惑だ、と。

 

生徒の一人が言った。「メキシコは弱い人に優しいですから」と。

確かにそう思う。

 

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自由な雰囲気の地下鉄前。この人たちの音楽、よかったな~

メキシコの地下鉄では、エレベーターがなかったり、止まっていたりということがしょっちゅうあるが、車いすの人や足が不自由な人を、知らない人同士集まって、抱きかかえて一緒に階段を上るという光景を何度も見た。それも当たり前のように。

 

日本はサポートが必要な人に、優しくない。わたしも日本にいるとそうなってしまうと思う。そうはなりたくないのに。

その意識って自分に返ってきてしまうんだ、と思った。

子育てに優しくない目線をもったままだと、自分の子育てが辛くなる。

 

大声で泣いたとしても、ぐずったとしても。それが子どもの当たり前。

そんな当たり前のことに気づかせてもらった。

 

子育てとは関係ないけれど、

つん父は地下鉄で、わたしは道を歩いている時、

プロの技でスマートフォンを盗まれた。盗み方がプロすぎて、二人とも感心した。

メキシコはやっぱり気を抜けないところは、もちろんある。

 

どこの国もそうだろうけれど、いろんな面がある。

生活をしてみないと気づけない、そんなことを1年半住んでみて感じてきたところ。